2011/10/28

黄昏の色



冬を迎える頃、冷たく澄んだ空気を包み込んでいくようにその光景は訪れます。街から街へと通り抜けていく陽光が窓ガラスやコンクリートの床に照り返される瞬間、辺り一面が眩しいくらいの茜色に染め上げられ息をのむ程の美しい空間がそこには現れるのです。ほんの5分にも満たないその一瞬をただ静かに見つめる人、カメラやキャンバスを抱えその色を捉えようとする人、人々は思い思いの方法でその光景を切り取ろうとしていました。かつて住んでいたその地を離れてもなお、目前に広がる日々の変化に目を凝らし感性を研ぎ澄ませ、全身で感じ取ろうとする想いを持ち続けることの大切さを、この夕陽とともに深く心に刻み付けるのです。

d'antan