2011/11/21

自然と人の物語


大西洋の北東部に位置するアイルランドは豊かな緑もあれば切り取られた断崖もあり、様々な自然環境が静かで美しい風景を形成しています。その美しい自然に囲まれて、アイルランドでは芸術とも呼べるものが生まれてきました。ひとつは過去にもストールをご紹介しましたドネゴール地方のツィード。しっかりと織られたツィードの柔らかな色どりが単なる暖かさだけでなく、芯へ届く温かさを感じさせます。夕焼けを思わせるオレンジや深い森のようなグリーン、澄んだ湖のブルー。どこか荒々しいイメージのあるツィードがこんなにも優しく語りかけ、アイルランドの情景を思い起こさせるのです。もうひとつはアランセーターと呼ばれるハンドニット。元々、過酷な環境のなか漁へと出掛ける漁師達のために編まれていたニットは実用性だけでなく、彼らの安全を祈る意味もありました。ひと針ひと針丁寧に編まれたニットには多様な編み模様があり、それらの組み合わせは家庭により違い、母から娘へ小さく強く受け継がれてきました。そんな素朴でざっくりとしたニットに魅かれるのは、そこに家族への愛があり、作り手の顔を窺い知ることができるからでしょう。こちらもまたドネゴールのツィードと同じく、自然から人の手により生まれた芸術です。

アイルランドで生まれた2つのものにはしっかりとした足跡があり、その後ろには歴史という名の物語があります。haus はそのような物語のあるものを皆様にも触れていただきたいと考えています。そこで26日より5日間、アイルランドや世界各地から集めた物語をご紹介します。はっとすぐに心奪われるものだけでなく、最初はぴんと来なかったものも使い込んでいく内に魅せられるものもございますので、我々と一緒に物語を紐解いてみてはいかがでしょうか。

haus